子供の難聴を早く見つけよう!「小児の滲出性中耳炎」について解りやすく紹介しています
2015年1月13日

小児の滲出性中耳炎の話(子供の軽度の難聴を早く見つける ―― 子供の発育のハンデを作らないために)

滲出性中耳炎とは中耳(鼓膜の内側、鼓膜の奥側)に液体が染み出てきて溜まる病気です。外から水が入って起きるのではありません。
症状は軽度から中等度の難聴、耳閉感(耳のつまった感じ)ですが痛みは無く、耳漏(耳だれ)も無く、会話がわからないほどの難聴にもなりません。
耳閉感はとても不快ですし聞こえ難くなると不自由なので大人ならすぐに診察を受けようと思うのですが、痛みなどが無いので小児の場合は自分からは異常を訴えないことが多いのです。
かつては成人(中高年~高齢者で50歳以上にピーク)の病気と考えられていました。しかし実際は小児期と成人の二つの世代に多くみられる病気で、むしろ小児期(特に乳幼児期)に多いということがわかってきました。
小児には少ないと思われていたのは痛みなどが無いために自分からは異常を訴えないからでした。病気に対する関心が高まって検診が普及した結果、小児に多い病気だということがわかってきたのです。
小児期と成人の二つの世代に多くみられる病気なのですが小児の滲出性中耳炎と成人の滲出性中耳炎では発症のメカニズムが違うのであろうと考えられています。中耳に溜まる液体が小児では粘調であることが多く、成人では漿液性(さらさらしている)ことが多い、また小児では両側性のことが多く、成人では一側性のことが多いなどの違いもあります。しかしこの病気の原因はまだはっきりとは解っていません。耳管(鼻の奥の方と中耳をつなぐ管で中耳の圧力の調節や中耳の粘液の排出をしている)の働きが十分でないことや中耳の炎症が原因であろうと考えられています。

今回は小児の滲出性中耳炎について書いてみます。
小児期の中でも特に乳幼児期に多い病気で小学校低学年までに病気が始まることが多く、ピークは5~7歳です。比較的治りやすい病気で短期間(3か月以内)に治癒するのが1/3くらい、大部分(90%以上)は自然治癒(自然に治る)するのですが一部の患者さんは治らずに進行、悪化します。10歳以上でまだ滲出性中耳炎が残っているものは難治性と考えられています。
一番重要な症状は難聴ですが高度の難聴になることはまずありません。しかし、小児の滲出性中耳炎は両側性であることが多いこと(両耳とも難聴になる)、小児期(特に乳幼児期)は言葉の習得時期、知識を旺盛に吸収する時期であるため軽度の難聴でも大きなハンデになる場合があること、など注意が必要です。注意力が無い子供、先生の話をちゃんと聞かない子供と思われていて原因は軽度の難聴のためであったという場合もあります。小児の滲出性中耳炎は自然に治りやすい病気で90%は10歳くらいまでに治るのですが、だからと言って治るまで待てば良いというものでもありません。それまでのハンデが治った後も尾を引くと言われています。
初めにも書きましたが難聴以外の症状が少ないので乳幼児は自分からは異常を訴えません。自分で訴えないので周囲の人(家族)が注意して異常を見つけ出さなければなりません。テレビを見るときのボリュームが大きい、テレビを前の方で見ようとする、呼んでも返事をしない、聞き返しが多い、などがあると難聴の可能性があります。ぜひ耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。
では治療はどうするのか?
比較的治りやすい病気なのですぐに治療を始めなければならないというわけではありません。2歳未満では経過観察が基本です。しかし、2歳以上になって3か月以上続く滲出性中耳炎は何らかの治療か経過観察(定期的に診察して鼓膜の変化や聴力の程度を観察すること)が必要です。聴力の低下が強いと思われる場合、言語発達の問題(学業成績不振も含めて)がある場合、鼓膜に病的変化がみられる場合、は積極的治療が必要です。現在のところ効果がはっきりしている治療は鼓膜チューブ留置です。鼓膜に小さな穴を開けて小さなチューブを置きます。チューブの穴を通して中耳と外気の間で空気の出入りができるようにするのです。これで聴力が格段に改善されます。チューブ留置の聴力に対する効果は短期的(1年未満)という意見もありますがそれでもその差は発育期の小児には大きなものです。このチューブは用が済むと抜いてしまいます。チューブを抜いた後の小さな穴は自然にふさがるのですが時には残ってしまう事もあります。ですからチューブ留置にはマイナス面もあるのです。チューブを留置するべきか待つべきかの判断が必要です。4歳以上になると聴力の評価も正確にできるようになるのでチューブ留置の判断もしやすくなります。
また、急性中耳炎(これは痛みが強い別のタイプの中耳炎です)を反復する、扁桃・アデノイド肥大がある、鼻の病気(特に慢性副鼻腔炎)がある子供では滲出性中耳炎が起きやすくまた治りにくいと言われています。このような病気がある場合は積極的に治療しましょう。もちろん効果は間接的ですが。
進行するとどうなるか?鼓膜萎縮、鼓膜虚脱などと言って鼓膜が薄く弱くなりちゃんと音を受け止められなくなります。ついには鼓膜が奥の方にくっつく癒着性中耳炎と呼ばれる状態になったり、鼓膜の一部が中耳の奥の方の隙間に入り込んで塊を作り周囲を壊してゆく真珠腫性中耳炎という病気を起こす場合もあります。こうなると難聴も高度になり手術が必要になってきます。
軽度の難聴を見つけることがこの病気を早く見つけるコツです。子供が自分から症状を訴えることは稀なので子供さんと一緒に居る時間が長いお母さんがちょっとした難聴の兆しを見つけて専門医の診察を受けるようにすることが大事です。


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