夜間頻尿について
2015年12月1日

特別な原因がないのに、一日に10回以上排尿にいくことを頻尿といいます。特に夜間頻尿は、一晩に1回以上の頻度と定義されていますが、夜間睡眠時に2回以上の排尿で、生活の質(QOL)を低下させる事が多いといわれ、2回以上の時に治療の対象となることが多い。わが国では、2回以上の夜間頻尿は、60歳以上の男性で約40%,女性で約30%と報告されています。夜間頻尿の原因としては、下記がいわれています。

1)    夜間多尿:一日の尿量のうち夜間尿量の割合が多い状態で、高齢者で、一日の尿量の1/3以上、若年者で、一日の尿量の1/5以上といわれています。原因として、水分過剰摂取、薬剤、脳障害、高血圧、うっ血性心不全、腎濃縮力低下、下肢の浮腫、アルコール・カフェイン摂取、糖尿病などがあります。

2)    膀胱容量の減少:前立腺肥大症、過活動膀胱(尿意切迫感を主症状とした排尿障害)、間質性膀胱炎(膀胱粘膜の知覚が亢進する疾患)などがあります。

3)    睡眠障害:不眠症、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など。

これらの区別するためには、排尿日誌をつけることが有用で、排尿回数、昼間尿量、夜間尿量、一日尿量、最大一回排尿量などが把握でき、病気の状態の把握、治療に非常に効果的です。(排尿日誌はhttp://www.luts.gr.jp/よりダウンロードできます

夜間頻尿の治療では、その原因や病態を見極めることが大切です。前立腺肥大症が原因の場合は、α1受容体遮断薬(前立腺の緊張を解いて尿道を広げる働きがあります)を使用することが多く、過活動膀胱の場合には抗コリン剤(膀胱の過緊張状態をとる薬剤)が有用です。夜間頻尿で、前立腺肥大症や過活動膀胱を認めない場合には、夜間多尿を考えます。最近は脳梗塞の予防として、血液をさらさらにするために、就寝前や夜間に目覚めたときに、過度の飲水をされる方がいますが、その予防効果はありませんので、(脱水が脳梗塞の発症因子であることは報告されています)適度な飲水量にしてください。また夕方の散歩等の運動は有効といわれています。基礎疾患としての高血圧,心疾患、糖尿病などの治療も重要です。治療としては昼間の利尿剤が有効です。また不眠症では適切な睡眠薬の投与が必要です。若い人で夜間頻尿のある場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われ呼吸器内科での専門的な治療が必要な時があります。

夜間頻尿で問題になるのが転倒、骨折で、夜間頻尿のある男性の15%,女性の18%ぐらいの方に転倒、骨折があると報告されています。また生存率は、夜間排尿回数1回以下に比べ2回以上で有意に低下しており、死亡のリスクも高くなるといわれています。夜間頻尿の治療は、骨折やそれに伴う寝たきりの予防にもつながり、生命の予後にも関係することもあり、その治療の重要性は高く泌尿器科専門医での治療が望まれます。


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