メラノーマ(悪性黒色腫)の早期発見について
2019年10月10日

メラノーマ(悪性黒色腫)の早期発見について

2019年9月12日 公開講座

ニュー琴海病院皮膚科 廣瀬寮二

皮膚の悪性腫瘍の中でも悪性度が高く、生命の危険性が高いとされる腫瘍が悪性黒色腫です。最近では医学用語としても使用されるメラノーマという病名で一般に知られるようになってきました。

本腫瘍は皮膚のもっとも表層の表皮に存在する色素細胞(またはメラノサイトとも呼ばれる)の悪性腫瘍であり、色素細胞の良性腫瘍は母斑細胞母斑(俗にほくろ)です。

よく「ほくろのがんは危ない」という言葉を耳にしますが、その意味は「ほくろと思っていたらがん(メラノーマ)だったという意味であり、医学的には、ほくろはがんにはならないとされています。

悪性黒色腫は人種による頻度の差があることがわかっており、人口10万人あたり白人で15人、日本人で2人、黒人で0.5人というデータがあります。長崎地方における発症頻度を人口あたりで換算すると、1年間に長崎県で27.6人、長崎市で8.6人と推測されます。

発生部位をみると、本腫瘍は全身どこにでも生じますが、日本人ではとくに手掌・足底(ほとんどは足底)と指趾爪部(主として第1指趾)にもっとも多発し、ALMタイプと呼ばれます。

これらの部位だけで日本人では約50%を占めており、白人では10%のみであるのと比較し、両者の頻度に大きな差があります。
予後をみてみると、病期別9年生存率は、病期Ⅰでは100%、リンパ節転移を生じた病期Ⅲでも52~68%との報告があり、一般的に恐れられているほどには致死率は高くないことになります。
しかし、肺・肝臓・脳・骨などの遠隔転移を生じた病期Ⅳでは6年生存率が25%で、その後は限りなく0%に近づくと思われます。
悪性黒色腫の診断手順は、病歴聴取、臨床症状による診断、病理組織検査と進んでゆき、診断を確定することになります。臨床症状で重要な点は、すでに1985年に米国で提案された悪性黒色腫と母斑細胞母斑の鑑別点として、ABCD徴候が示されています。

A:asymmetry左右非対称、B:border irregularity辺縁不整、C:color variegation色調多彩、D:diameter enlargement拡大(>6mm)といった所見が悪性黒色腫では見られやすいということです。

また、臨床検査としてダーモスコピーが有用であり、診察時に使用されています。

黒色斑に強い光をあて、カメラで拡大し、表面の性状を観察する方法で、とくに足底の黒色斑の診断には有用です。

足底には紋理と呼ばれる指紋と同じ丘と溝が交互に見られますが、黒色斑が丘に強い場合は、皮丘平行パターンと言われ、悪性黒色腫に多い所見です。

一方、溝に強い場合は、皮溝平行パターンと言われ、ほとんどが母斑細胞母斑です。
また、爪部の黒色斑は爪甲色素線条と呼ばれ、種々の原因で生じますが、やはり悪性黒色腫と母斑細胞母斑の鑑別がもっとも重要です。

黒色斑の幅が6mm以上、色素が直線状でなくギザギザ、色素が途切れる断裂といった所見は悪性黒色腫の初期病変である可能性があります。

さらに指尖部や爪基部の皮膚に黒色斑が現れるしみ出し現象があると、悪性の可能性がさらに高くなります。爪甲の破壊はもっとも悪化した時の症状であり、進行がんを意味します。

臨床診断で悪性が疑わしい場合は、皮膚生検により病理組織検査で診断を確定することになります。その要点は、まず良性・悪性の鑑別であり、悪性黒色腫か母斑細胞母斑かを診断します。悪性黒色腫と診断した場合は、次に表皮内がん(早期がん)か浸潤がん(進行がん)かを判別することになります。

表皮内がんで発見され、適切な治療を行うと、ほぼ100%治癒しますが、浸潤がんの場合は生命の危険性が生じます。

このように皮膚生検は診断と治療方針の決定に有用ですが、爪部では検査後の爪変形や痛みが持続するなどの後遺症が生じるリスクが高いため、容易には施行できないといった難点があります。

最後に、悪性黒色腫を早期発見するポイントとして、

1)これまでになかった足底や指趾爪甲の黒色変化は悪性黒色腫かもしれません。

2)ABCD徴候:左右非対称、辺縁不整、色調多彩、拡大は悪性黒色腫の徴候です。

体中の一見「ほくろ」に変化があれば、皮膚科の受診をお勧めします。


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